穏やかな笑顔の奥に秘めた、写真への誠実な探究心。フォトグラファー・小野寺忍

約束の時間より少し前に到着し、穏やかな笑顔で挨拶をしてくれたのは、写真家・小野寺忍さん。

お話を伺っていく中で、「普段は撮る側なので、撮られることには慣れておらず気恥ずかしい」と仰っていましたが、まっすぐとインタビュアーの目を見ながら、一つひとつの質問に丁寧に対応される姿からは、その誠実なお人柄が伝わってきました。

人物、建築、メーカー案件など、ジャンルを限定せず幅広い撮影を手がけるフリーランスフォトグラファーとして、依頼があれば全国どこへでも足を運ぶ小野寺さん。

今回は、仕事のスタイルや写真との出会い、そして今も続く“学び”についてお話を伺いました。

Q1. まずは、どのような活動をされているのか教えてください。

小野寺さん: 横浜市を拠点に「小野寺写真事務所」として、フリーランスで活動をしています。全国各地のロケーション現場へ直接伺うことはもちろん、最適な設備を備えたスタジオを手配したりと、ご依頼内容に合わせた撮影環境に対応しています。
人物撮影を中心に、最近では建築写真の撮影も増えていますね。

Q2. 撮影ジャンルが非常に幅広い印象ですが、あえて絞らない理由はありますか?

小野寺さん: アシスタント時代に在籍していた会社には20名以上のフォトグラファーが所属しており、それぞれの専門分野が違っていました。そのいろいろな現場に入っていくうちに、自然と幅広く学ぶことができました。
業界的には「専門性がないと評価されにくい」と言われることもありますが、私個人としては、様々な場所へ赴き、様々な現場の内側を拝見できることに純粋な面白さを感じています。

Q3. 小野寺さんはスタジオ撮影だけでなくロケ撮影も多いとお聞きしました。ロケ撮影のこだわりについて教えてください。

小野寺さん: 場所ごとに光や空間の条件が全く異なるため、考えるべきことは多いですが、その土地ならではの空気感や、その瞬間にしか撮れないものがあるのが大きな魅力です。
クライアントのご要望に合わせて遠方へ伺うことも多く、必要に応じて事前にロケハンを行い、準備を整えることもあります。

Q4. 写真を仕事にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

小野寺さん: 学生時代はライターの仕事に関心があり、バックパッカーとして旅をしていました。その際、ベトナムの博物館で見た一枚の写真が大きなきっかけです。 その一枚とは、日本人写真家・沢田教一さんの作品で、「写真を通じて、このように世界で活躍できるんだ」と強い衝撃を受けました。そこから家にあったカメラで撮り始め、旅と写真そのものがどんどん面白くなっていきました。

Q5. 長くキャリアを積まれる中で、壁を感じることはありますか?

小野寺さん: 写真が嫌になることはありません。ただ、「なぜ思うように撮れないんだろう」と悩むことは常にあります。
新しいジャンルの仕事をいただいた時は、毎回が勉強です。先週も、新しく取り入れたいライティングを試すために、夜中までテストを繰り返していました。

Q6. ご自身の現在地を点数で表すと?

小野寺さん: 40点くらいでしょうか(笑)。
編集者: 穏やかな雰囲気ですが、ご自身には非常に厳しいのですね。
小野寺さん: 毎日が勉強だと思っていますので。まだまだ伸びしろしかない、と捉えています。

Q7. クライアントワークにおいて、大切にしていることは何ですか?

小野寺さん: 基本的に、クライアントワークは自分の世界観を一方的に押し付けるものではないと考えています。
ただ、私にご依頼いただく案件は「お任せします」と言ってくださることも多いため、その信頼という余白の中で、自分なりの個性を出すようにしています。

Q8. 最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

小野寺さん: まずは、お気軽にご相談をしてみて欲しいと思っています。自分で申し上げるのも恐縮ですが、丁寧にしっかりとヒアリングをして、柔軟に対応できるところが自身の強みの一つだと思っています。
まだ具体的なイメージが形になっていなかったり、言葉にまとまっていなかったりしても全く問題ありません。まずは一度ご相談を頂ければ嬉しいです。
最適な表現を、一緒に探っていきましょう。

編集後記

穏やかに、淡々と語られる言葉の奥には、写真と誠実に向き合い続ける強い意志を感じました。「まだ40点」という言葉は、決して現状に満足せず、止まらずに撮り続けているからこそ出てくるもの。
小野寺さんがこれから積み重ねていく一枚一枚が、ますます楽しみになりました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次