横浜で活動するクリエイターが集うコミュニティ「ヨコハマヨコツナガリ」。その取材チームの一員としても活動する、オーガンジー刺繍作家のなっちゃん。
取材当日は、柔らかな笑顔とパッと周りを明るくするような雰囲気で迎えてくださいました。テーブルに並べられたのは、色とりどりの刺繍アクセサリーや布小物の数々。どれもポップで軽やか、見ているだけで心がきゅんと弾む作品ばかりです。
今回は、刺繍アクセサリーブランド「mokumoku(モクモク)」を立ち上げたきっかけや、思わず身につけたくなる制作へのこだわり、そしてなっちゃんがこれから描いている未来について、たっぷりとお話を伺いました。
気がつけばいつも隣にあった「ものづくり」
Q.なにがきっかけで、ものづくりに興味を持ったのですか?
なっちゃん:母がずっと編み物をしていて、ハンドメイドが当たり前のようにある家だったんです。私も真似して編み物に挑戦したんですが、小学生の私には編み図が難解で……(笑)。それならミシンならできるかも!と思い立って、自分のお洋服を作り始めました。

なっちゃんがものづくりに興味を持ったのは、幼い頃のこと。お母様が日常的に編み物やミシンに親しむ姿を見て育ち、自然と「自分の手で形にする楽しさ」が身近にある環境でした。
ものづくりへの情熱は冷めることなく、高校は服飾科へ進学。洋服制作の基礎からファッションショーの企画まで、本格的にクリエイティブの世界に没頭していきます。しかし、現在彼女の代名詞となっている「刺繍」との出会いは、意外にもそのずっと後のことでした。
心を撃ち抜かれたオーガンジー刺繍と、ブランド「mokumoku」の誕生
現在の活動の中心である「刺繍」とはどのように出会ったのでしょう?
なっちゃん:一緒にブランドを立ち上げている友人が『楽しそうな刺繍のワークショップがあるよ』と誘ってくれたんです。それが、透け感のある生地に刺繍を施す『オーガンジー刺繍』でした。実際に針を動かしてみたら、その可愛さと表現の奥深さに一気に心を奪われてしまって!
現在の活動の中心となっている刺繍。その扉を開いたのは、友人からの一言でした。

それがブランド立ち上げに繋がっていくのですね。
なっちゃん:はい。この出会いをきっかけに、二人でハンドメイドブランド『mokumoku』をスタートしました。私はポップで遊び心のあるテイストのアクセサリーを担当していて、もう一人の作家さんがお花モチーフなどの繊細なデザインを制作しています。お互いの個性をリスペクトし、刺激し合いながら、唯一無二の世界観を広げています。
ひらめきの源泉は、素材との「恋に落ちるような出会い」から
Q.ハッピーなカラーリングやデザインが印象的ですが、いつもどのようにインスピレーションを得ているのですか?
なっちゃん:最初にガチガチにデザインを決めることは少なくて、まずは『素材との出会い』から始まるんです。手芸店などで可愛いビーズやパーツを見つけた瞬間に、“うわぁ、これ使いたい!”って胸がときめくんですよね。そこから“この子たちの魅力を一番引き出せるのはどんなデザインかな?”と想像を膨らませていきます。

配色などは、その時のフィーリングで決めることが多いのでしょうか?
なっちゃん:カラーパターンの本を開いて美しい配色を研究することもありますが、最終的な形の決め手になるのは、その瞬間の私のきもちですね。バレンタインの時期には自然とハートを縫いたくなったり、星空を見上げるのにハマっていた時は星座モチーフが生まれたり。私のその時のワクワクや気分の変化が、そのまま作品に映し出されている気がします。
日常のときめきがそのまま形になっているからこそ、作品たちも生き生きとした輝きを放っているのかもしれません。
驚くほどの軽やかさ。「あなただけの一点もの」に込める職人技
Q. 「mokumoku」のアクセサリーは、大ぶりでパッと目を引く存在感がありながら、驚くほど軽いですよね。
なっちゃん:私自身、大きくて存在感のあるアクセサリーが大好きなんです。でも、重くて耳が痛くなってしまったり、歩くたびにカチャカチャと重々しい音がしたりするのがちょっぴり苦手で…。そんな時に出会ったのがオーガンジー刺繍でした。本当に軽くて、つけていることを忘れちゃうくらいストレスフリーなんですよ

制作の中で、最も緊張する工程はどこですか?
なっちゃん:刺繍が完成し、枠から外してハサミを入れる瞬間です!せっかく細かく刺繍した枠の糸を、間違えて切ってしまったら、その時点で全部やり直しになってしまうんです。ここが一番失敗できない極限の集中ポイント。だから、少しでも手元が狂いそうな夜の時間帯には絶対にやらないって決めています(笑)
優しく耳元に寄り添う軽やかさを実現する裏側には、息をのむような繊細な手仕事がありました。
ひとつの作品を作るのに、どれくらいの時間がかかるのですか?
なっちゃん:一つの刺繍を縫い上げるのに1〜2時間ほどです。ただ、そこからさらに、ビーズの配置や全体のバランスをミリ単位で調整していくので、そちらに時間がかかることもあります。ビーズの表情や糸の引き具合で、ひとつひとつ絶妙にバランスが変わるので、まったく同じものは二度と作れないんです。すべてが世界にひとつだけの『一点もの』ですね。

家族がくれた一歩、そして「身につける人」と紡ぎたいこれからの夢
Q.なにがきっかけで、作家としての活動を本格化させようと思ったのですか?
なっちゃん:私にとって大きなターニングポイントとなったのは、結婚、そして家族の存在でした。夫が、ライフステージが変わっても常に新しいことに挑戦し、人生を楽しんでいる人なんです。その背中を近くで見ているうちに、私も『自分の人生、好きなことをもっと妥協せずに大切にしたい!』と思えるようになって。それが『mokumoku』を形にする大きな原動力になりました。
その想いは今、全国のファンの元へと届いています。現在は日本各地のセレクトショップなどから声がかかり、1店舗につき40〜70点もの作品を届ける多忙な日々を送っています。
これからはどんなことに挑戦していきたいですか?
なっちゃん:今後は、完全オーダーメイドのアクセサリーをもっと手がけていきたいです。身につける方の雰囲気、好きな色、どんなお洋服に合わせてどこへ出かけたいか……そんな物語をお聞きしながら、その人のためだけの特別な一つをお作りしたくて。

さらに、デザイナーやフォトグラファーといった、他ジャンルのクリエイターとのコラボレーションにも、きらきらと目を輝かせます。
なっちゃん:大好きな横浜をテーマにしたお洋服やアクセサリーを制作して、それを身につけて素敵なロケーションフォトを撮影するような、ワクワクする企画ができたら最高ですね!
見ているだけで心が弾むポップなアクセサリーの背景には、「年齢や役割に関係なく、誰もが自分の『わくわく』に素直になってほしい」というなっちゃんの温かい願いが込められていました。
「ママだから」「もう大人だから」と、お気に入りを身につけることを遠慮してしまうなんてもったいない。日常の中で、自分のためにときめきを選ぶ楽しさを教えてくれるなっちゃんの作品。その優しい魔法が、これからさらに多くの人の毎日に彩りを添えていくのが、今から楽しみでなりません。
▼ なっちゃんの詳細・お仕事依頼はこちら [ 横浜クリエイターズマップで「moku moku」さんを見る ]

この記事をつくった人たち
この記事は「ヨコツナガリの会」所属メンバーで作成しました。
ヨコハマ、ヨコツナガリが運営する「ヨコツナガリの会」は、神奈川県で活動するクリエイターのリアルコミュニティです。
“クリエイターの力で、横浜をどんどこ盛り上げる!”をコンセプトに、横浜拠点クリエイターが繋がり様々なプロジェクトに挑戦をしています。







